絵描き忠田愛の旅の記録。出会ったものたち。感じたこと。旅行記をゆっくり更新中。
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根室へ

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知床から摩周湖斜里線を南下し、中標津から一気に根室まで走る。
根室は風の強い町だった。道からは海か見えなくとも、三方を海に囲まれていることをびりびりと感じる。
この町にもまた、雪の匂いが濃くしみついている。
根室に行った友だちが是非本店に、とすすめてくれた根室花まる寿司さんの
それはそれは美味しかったこと!(Nさん、ありがとう!)
口に含んだ瞬間、目をまるくしてしまう。鮮度が抜群にいい。
今にも口のなかで踊りだしそうなほど、身はいきいきとして、きらきらひかっていた。
それにしても、ちょっとショックを受けるほどの美味しさ。
生の秋刀魚って、烏賊って・・こんなに美味しいのだなあ。
大好きなものをはちきれるほどいただき、力がぐぐーと湧いてくる。

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by ai-viaggio | 2015-09-19 21:51 | '15北海道

秋のはじまり

あっという間に知床半島を後にする日が来た。
去り難い思いをかき消すように私たちを見送ってくれたのは、溢れんばかりの生命に満ちた川だった。(この日は9月2日)
カラフトマスの遡上だ!
壮観だった。

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何百、何千というカラフトマスがゆっくり上流を目指して動いている。
まるで川が脈打ち、鼓動し、意志をもつかのように。
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森ではヒグマや狐、シマフクロウや鷲たちがご馳走を今か今かと待っていることだろう。

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by ai-viaggio | 2015-09-19 21:25 | '15北海道

海の形見

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知床、オホーツク海の漂着物。
左からイルカの背骨
ウミウ(と思われる)頭骨
エゾバフンウニふたつ(バフンウニは管足孔が4対であるのに対してエゾバフンウニは5対あることで見分けられる。)

この海からきたのだなあ!

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by ai-viaggio | 2015-09-16 22:55 | '15北海道

昆布森の羅臼

知床峠から羅臼の方に降りてゆくと空気が変わる。
羅臼の町は、冬が濃く透けてみえる町だった。
たたきつけるような激しい吹雪と海鳥たちの甲高い声。
知床にも冬の情景を感じるところは多くあったけれど、何か質感が違う。

昼下がりの漁港はとてもしずかだった。
しずまりかえった港に山積みにされているトロ箱や、たくさんの網、フォークリフトなどを見ていると
戦場のように激しい朝の光景や荒くれた海に立ち向かう男たちの声が聞こえてくる。
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羅臼町から車で海岸沿いの道を走り、相泊温泉を目指す。ここは車で行ける最果ての場所。
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道中で。番屋の前にずらりと並べられて干されている羅臼昆布。


相泊温泉は海のすぐ傍に掘られた本当に小さな温泉で、浴槽に簡素な小屋掛けがあった。
足湯でもと近づいていき、思わず眼を見張ったのと同時に勢いよく足を滑らせる。
海岸全体に大量の昆布が打ち上げられ、浴槽周辺を埋め尽くしていたのだ。写真がないことが残念・・。
(バランスを崩して危うく岩に頭をぶつけるところだった。北の果てでぬめる昆布に足をとられて気絶する、を想像。何とシュールな画だったことだろう!)
昆布はヌルヌルと光り、あたりは昆布の匂いが立ちこめていた。
このあたりの海はさぞよい昆布出汁の味がするのではないだろうか。

じっと見ていると狂気に近いようなエネルギーが感じられ、この昆布森が目の前の海に広がっていることを想像すると
うつくしくておそろしかった。
命を育む昆布森の熱量はなんと大きなものなんだろうか。

相泊温泉を後にして、少し戻ったところにあるセセキ温泉に向かうが、ここも潮が満ちていて残念ながら入ることはできなかった。すばらしく野趣あふれた温泉。(北の国からのロケ地でもある。)

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セセキ温泉


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いくつかの浜辺に立ち寄りながら、漂着物を探して歩く。石を手にとると、皆まるく削り取られ、スルスルと滑らかだった。
大きくうねる波が海岸に押し寄せる度に、ガラガラガラガラと石が激しく打ち合わされ、雷のような音がする。

感傷など吹き飛ばしてしまうような むき出しの海と、その恵みや厳しさを受けて暮らす羅臼の人々を、これから昆布を見る度に思い出すだろう。




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by ai-viaggio | 2015-09-14 13:38 | '15北海道

羅臼湖へ

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青空の羅臼岳

羅臼湖トレッキングの日は最高の晴れ。ネイチャーガイドさんにお願いし、個人ではなかなか行きにくい原生林の深部、秘境の湖へ行くことに。冬期は羅臼湖へ通じる道路が全面通行止めとなるため、ここを歩けるのは6〜10月に限られる。標高差はそんなに無いが、道がぬかるむことが多く、植生保護のためにも長靴で行くことになっている。この日は乾燥していたが、雨が続くと膝下近くまで泥に埋まることもあるようだ。
トレッキングは羅臼湖までの道を散策しながら約4時間かけて、往復6km程度歩くというもの。

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美しい三の沼、周辺にはワタスゲがふわりふわり揺れている。

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エゾアカガエル


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このあたりはアヤメの群生地だったが多くが鹿に食べられたとのこと。


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ツルコケモモ

大阪出身(地元が近い!)ガイドの若月さんのお話は終始おもしろく、羅臼湖周辺の動植物のことをたくさん知ることができた。知床の夏は短い。羅臼湖の周りはゴゼンタチバナやナナカマドが紅葉をはじめ、アカミノイヌツゲやツルコケモモの実が赤く熟しはじめていた。花はアキノキリンソウ、ノコギリソウ、ナガボノシロバナワレモコウ、サワギキョウがまだ咲いていて、エゾリンドウがちらほら咲き始めていた。
(ああ。植物の名前は本当に難しい。図鑑を見ていても全然覚えられないのに、その場で教えてもらったり、いろいろなお話を聞きながらだと今でも覚えていることにビックリ!若月さん、ありがとうございます。魔法のよう。)


もう少し気温が下がれば、あっという間に紅葉がそこかしこを黄色や赤にそめ、羅臼岳は雪帽子をかぶるのだろう。


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知床最大の湖羅臼湖。この奥はほぼ人が立ち入ったことのない未知の場所。

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海を少し越えてすぐそこには国後島。ほとんど調査の入れない国後島には白黒のマダラの熊が何頭もいるようなのだ。ホッキョクグマとヒグマの混合種、もしくは独自に進化を遂げた熊なのだろうか。

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若月さんが最後に、急な坂を一気にのぼり、周囲を展望できる小高い場所へ連れていってくださった。
羅臼岳とその向こうにオホーツク海、そして見渡す限りの森。
山と海と森。
流氷が運ぶ豊富な栄養分はプランクトンを育て、それをめがけて鯨やイルカ、シャチ、海獣、海鳥が集まってくる。海でエネルギーと栄養を蓄えた鮭やマスは川に遡上して、熊やオオワシ、オジロワシなど多くの生き物を育む。そして、生き物たちの糞や死骸が森を豊かにする。
知床が世界自然遺産に登録されたのは、その生態系と、稀少かつ多様な生物群、またその保全管理体制が評価されてのことだと教えてもらった。

海岸が少なく、山からすぐ断崖へ落ちるような知床半島の急峻な地形が、決して広くない範囲の中で多種多様な生き物を育んでいる。
命の循環を、こんなにも肌で感じられる場所があるということが ただただ嬉しかった。






pikkiの若月愛さん、本当にありがとうございました。すばらしいガイドさん。いつかまた違う季節にも知床に行って、若月さんにガイドをお願いしたいなあ。

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by ai-viaggio | 2015-09-09 22:15 | '15北海道

鹿よ

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ウトロ知床五湖間では多くのエゾシカと遭遇した。薄茶色の毛並がうつくしく、ほとんどは子鹿を連れた母鹿で、その仲睦まじい姿に心があたたまる。

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しかし、それにしても数が多すぎる。加えて、あまりに人間を怖がらないことに違和感を覚える。
その後、知床のガイドさんにお話を聞くと、温暖化の影響もあり、やはりエゾシカが爆発的に増えているようで、農作物の被害や植生破壊は深刻だ。現在、北海道で有害駆除されているエゾシカは狩猟と合わせると1年に約14万頭にものぼるという厳しい現実がある。エゾシカの増加はオオカミを絶滅に追いやってしまったことも大きく関係しているだろう。(そうではないという意見もあるけれど。)


滋賀の山でも鹿による植生破壊は深刻だ。山菜はどんどん少なくなり、トリカブトなどの毒草が勢力を拡大している。驚くべきは、最近トリカブトや水仙(アルカロイド系の毒がある)を食べる鹿が現れているようなのだ。もちろん、まだごく一部の鹿だと思うが、解毒作用を持つ鹿が出てきているなら、これは大変な変化だと思う。
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種として鹿はこれからどうなっていくのだろうか。大昔からの生物の爆発的な増加や減少の歴史に、考えるヒントが隠されているのかもしれない。

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by ai-viaggio | 2015-09-08 23:58 | '15北海道

知床五湖

知床五湖はバリアフリーの木道を歩く短いコースと五湖すべてを歩く長いコースがあり、長いコースを歩くには最低限の装備とレクチャーを受ける必要がある。8/1〜10/20までは植生保護期にあたるが、レクチャーを受ければガイド無しでもトレッキングをすることができる。(※ヒグマ活動期、子育てなど特に活発に活動する時期はガイドツアーでなければ歩くことが出来ない。)
木道コースはツアー客などでにぎわっていたが、夏休みも終わりに近づき、長いコースを選ぶ人は少なかった。
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レクチャーの様子 ヒグマ活動期でないとはいえ、一週間に目撃されたヒグマ情報は少なくはない。

ヒグマのことを中心に10分程度のレクチャーを受け、知床五湖の森へ入る。晴天に恵まれた日中の知床はまだ気温が高く、歩いていると半袖でも汗ばむほどだった。時折樹々を揺らす風が心地よい。

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五湖の森は静かでやさしい。訪れる者を受容するようなやわらかさと共に、姿は見えなくともヒグマたちがどこかにいるということが森に緊張感と奥行きをもたせている。周囲の音に耳を澄ませ、集中しながら歩く時間は、人間としての自分の命を意識する時間でもある。

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この日は風も弱く、しずかな湖面に映る知床連山がとてもうつくしかった。

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ああ、眼にうつるこの風景のなかにどれだけの生き物がいるだろうか。ヒグマにシマフクロウ、エゾシカ、キタキツネ、アカゲラにクマゲラ、ヤチネズミ・・・そのことを想像できるということは なんて幸せなことなのだろう。


知床五湖公式サイトはコチラ

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by ai-viaggio | 2015-09-08 17:09 | '15北海道

キムンカムイ

清里町を出て車で1時間すこし走り、いよいよ知床ウトロ市街に入った。

ウトロに入ったら急にいろんな動物が出てくるよ。
ロッジのオーナーの言葉を思い出し、アクセルをゆるめ、窓を全開にして神経を外に集中させる。
ウトロの町は知床の玄関口で、すぐそこまで迫る山と海の間に民宿やホテルなどが点在する つつましやかな温泉街だった。
ウトロ=ウトゥルチクシ (Uturu-ci-kus-i)  アイヌ語で「その間を-我々が-通る-所」という意味の場所。
ウトロの港に差しかかると三角岩、オロンコ岩、帽子岩、ローソク岩など大きな奇岩が不思議な存在感を持って迫ってくる。かつて陸路が無かった頃、人々はこの岩の間を通って海との間を行き来していたのだろう。潮の強い匂いが突きあげる。オホーツク海の波は荒い。冬の風はどんなに激しく冷たいことだろう。

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ウトロ市街を通り抜けてすぐの橋に差しかかった時、何人か川の方を見ている人がいることに気付いた。もしかしてカラフトマスの遡上だろうかと期待に胸を膨らませて、車を脇に寄せて降りてみると
なんということだろう。
3匹のヒグマが悠然と川を歩いていた。
突然のことで、目の前の状況がすぐに飲み込めない。
橋の上から川縁のヒグマまでは200mくらいだろうか。慌てて双眼鏡を取り出し、焦点をあてる。
目の前に大きくクローズアップされた熊の姿からは、体温や息づかいまでもが伝わってくる。
熊の毛は光をうけて金色にかがやいていた。

感動とともに不思議な気持ちが胸を衝く。
それはうまく説明のしようのない、熊の前に行ってひれ伏したいような思いだった。
畏れにも似たなにか。
それは自分の命が、生態系の頂点にいる熊を、本能的に感じた瞬間だったのかもしれない。

熊たちの背後にはおおきな森があり、海へ流れ込む透明な川があり、熊たちの住む山があった。
それは信じられないほどうつくしい風景だった。
熊のうつくしさは、熊の生きる森の深さであり、海の豊かさそのものだったからだ。
キムンカムイ、アイヌ語では熊を山の神という。
熊の生きる風景がここにある。
そのことに激しく、強く勇気づけられていた。

きっとこれから先、何度もこの風景を思い出すだろう。満天の夜空の下に佇む熊たちの姿、ふかい雪と大地の間で身体を丸めて眠る熊たちの姿が何故かありありと心に浮かぶ。

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しかし、ヒグマが山からウトロ市街にも時々出没するようになってきたことは、知床の問題のひとつでもある。知床を訪れる人が、熊やキツネにお菓子や餌をあげることがあり、その結果人間に慣れ、近づいた熊は殺さざるを得ないのだ。知床で人間とヒグマがこれまでそうしてきたように、距離を保ちながら共存していけることを心から願い、今知床の皆さんが懸命に呼びかけている文章を添付します。

人から与えられた食べ物をヒグマが食べる-
それがどんな結果を招くか、考えたことがありますか?
ヒグマは賢い動物です。
人から与えられた食物の味を知ってしまうと、
人間のところに行けばおいしいものが手に入ると考えるようになります。

このようなヒグマは、やがて人間を攻撃して食べ物を無理やり手に入れようとして
事故を引き起こすことが知られています。
観光客や地元の住民に危害を与えるヒグマは殺さなければならなくなります。
不幸な事故をなくすため、不幸なヒグマの死を防ぐため、ヒグマにえさを与えない。

知床を訪れる私たちの約束です。



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by ai-viaggio | 2015-09-07 23:15 | '15北海道

オホーツク海

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by ai-viaggio | 2015-09-07 19:27 | '15北海道

斜里岳

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目の前に斜里岳を望む宿は素朴で居心地がよかった。夕方、宿の犬ムギを連れて、近くまで散歩に出かける。
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その日は満開に揺れる月見草にふさわしい、まんまるのお月さまが深い闇のなかに浮かんだ。

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ムギ、いつまでも元気で。


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by ai-viaggio | 2015-09-07 18:34 | '15北海道